基礎知識
従業員の懲戒解雇における要件と手続きの流れを解説
従業員に重大な規律違反があった場合、企業は懲戒解雇を検討することがあります。
しかし、懲戒解雇は解雇の中でも特に重い処分であり、判断や手続きを誤ると無効とされる可能性があります。
本記事では、従業員の懲戒解雇が有効とされるための要件と、実際に行う際の手続きの流れについて解説します。
懲戒解雇とはどのような処分か
懲戒解雇とは、従業員の重大な就業規則違反などの問題行為に対して行われる懲戒処分のひとつであり、懲戒処分の中でも最も重い処分に位置付けられます。
就業規則に基づき、企業秩序を著しく停滞・混乱させた場合などに選択される処分であり、通常の解雇とは性質が異なります。
普通解雇が労働契約の解消を目的とするのに対し、懲戒解雇は制裁としての意味合いを持っているのが特徴です。
そのため、適用される場面は限定的であり、慎重な判断が求められます。
懲戒解雇が有効とされるための要件
懲戒解雇が有効とされるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 就業規則に懲戒解雇の定めがあること
- 対象となる従業員の行為が、就業規則に定めた懲戒解雇事由に該当していること
- 懲戒解雇を行うことについて、客観的に合理的な理由があること
- 懲戒解雇の処分が、社会通念上相当といえること
懲戒解雇を行うためには、就業規則に懲戒解雇に関する規定が設けられ、対象となる行為があらかじめ明示されていることが前提です。
そのうえで、従業員の行為が実際に懲戒解雇事由に該当し、単なる業務上のミスや軽微な規律違反にとどまらないことが求められます。
さらに、行為の内容や影響の大きさ、これまでの経緯を踏まえ、懲戒解雇を選択する合理性があるかが判断されます。
加えて、弁明の機会の付与など手続きが適切に行われているかを含め、処分全体が社会通念上相当といえるかどうかが総合的に判断されるといった流れです。
懲戒解雇までの手続きの流れ
懲戒解雇を行うにあたっては、段階的な対応を踏まえた慎重な手続きが求められます。
懲戒解雇は懲戒処分の中でも最も重い処分であるため、改善の指示や注意、他の懲戒処分などによって是正を図ったものの、改善が見られない場合に検討されるのが一般的です。
その前提として、従業員の行為について事実関係を調査し、問題行為の内容や経緯を把握します。
あわせて、これまでの指導や処分の経過を確認したうえで、処分内容を説明し、弁明の機会を与えます。
本人の説明を踏まえ、懲戒解雇が相当と判断した場合には、その理由や根拠を明確にし、書面で通知することが重要です。
まとめ
懲戒解雇は、従業員に対する処分の中でも特に重いものであり、慎重な判断が求められます。
就業規則の定めや懲戒事由への該当性、処分の相当性といった要件を満たすことが必要です。
また、事実確認や弁明の機会付与など、手続き面の適正さも重要です。
懲戒解雇は手続きや判断を誤ると、後に紛争に発展するおそれがあるため、実施を検討する段階で弁護士に相談することをおすすめします。